欧州市場を見る眼(2019年2月26日)

トピックス:ユーロ圏~政策の不確実性高まる



ユーロ圏経済は減速している。最新の統計では、2018年下半期の経済の拡大ペースが潜在成長率を下回ったことが確認された。欧州委員会(EC)はユーロ圏の2019年の経済成長率見通しを1.9%から1.3%に引き下げた(1)。この下方修正は、イタリア(1.2%から0.2%へ)とドイツ(1.8%から1.1%へ)の成長率引き下げに加えて、当初の予想よりも外部環境が厳しいことを反映している。イタリアでは、市場の圧力を受けて財政緩和が見送られ、また金融引き締めの影響で、2018年下半期はマイナス成長となった。


現段階では、ユーロ圏の労働市場は堅調で(図表1参照)、所得と賃金を押し上げており、原油価格とインフレ率の低下による下支えもあって、個人消費は底堅く推移する可能性がある(インフレ率の見通しは2018年下半期の2%に対し、2019年は1.4%(1))。


しかしながら、ユーロ圏の経済見通しは不安定である。政策をめぐる不確実性が長引けば、内需は、まず投資を通じて、やがては消費を通じて、打撃を受けるリスクが高まる。

図表1:ユーロ圏の失業率は2008年10月以来最低の水準

出所:Eurostat、ブルームバーグ、2019年2月15日現在
(1) 欧州委員会(European Commission) 経済見通し 2019年2月7日現在

ユーロ圏の輸出は減速

ユーロ圏の輸出は、米国を除きすべての地域で減速した(図表2参照)。現時点では、ユーロ圏の輸出は貿易相手国の需要の水準を反映し、米国向けは大幅に増加、英国向けは減少、アジア向けは伸びが鈍化している。全体として見ると、アジア市場(ユーロ圏の輸出全体の24%を占める)が引き続きユーロ圏の輸出を牽引している。


輸出の不振は様々な一時的要因(新たな排ガス試験基準を理由とする自動車生産の停滞、ライン川の水位が低下し船舶輸送に影響していること、ハンガリーにおけるストライキ)によるものでもある。これらの一時的要因は12月に解消し始め、自動車生産は持ち直した。


しかしながら、製造業全般のトレンドは良好とは言えない。英国のEUからの離脱をめぐる不確実性がユーロ圏の主要輸出市場の1つである英国(ユーロ圏の輸出全体の12%を占める)の経済成長に悪影響を及ぼしている。一方、欧州連合(EU)から米国への輸出は、米国がほのめかしてきた関税導入案を背景に発注が前倒しされたこともあって、これまでのところ政策の不確実性の影響は出ていない。トランプ政権は自動車への関税について5月中旬までに行動を起こすと予想されているが、EUと米国がそれまでに合意に至るかどうかは予断を許さない(2)

図表2:ユーロ圏の輸出は減速、アジア向けが引き続きけん引役

出所:Eurostat、ブルームバーグ 2019年2月15日現在
(2)「EU-US Relations, Interim report」 2019年1月31日

域内需要は雇用頼み

家計消費の減速は、自動車部門の混乱に関係する一時的要因によるものである可能性がある。とはいえ、消費の動向は不安定である。まず第一に、イタリアでは、財政の緩和計画が市場の圧力に屈して見送りとなり、財政をめぐる不確実性が継続している。第二に、フランスでは、年金と行政を対象とするコスト削減計画と追加課税の可能性が政府予算に盛り込まれている。財政をめぐるこうした不確実性は、家計に消費よりも貯蓄を促すだろう。


一方、米国が自動車への関税導入をほのめかしている結果、自動車業界の投資が一段と遅れ、経済全体に悪影響を及ぼすおそれがある。これまでに発表された2018年10-12月期のGDP成長率(スペイン、オランダ、フランス)は、堅調であった上半期とは対照的に、民間投資が減少したことを示している。


全体的には、ユーロ圏では労働市場が予想外に堅調となり(図表1参照)、所得と賃金を押し上げた。原油価格とインフレ率の低下(2018年下半期の2%に対して、2019年の平均は1.4%となる見通し(1))が寄与し個人消費を下支えするとみられる。

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