欧州市場を見る眼(2018年12月20日)

トピックス:ユーロ圏の成長見通しは長期トレンドに回帰へ


圏内の下支え要因によって経済成長は趨勢を維持する見通し

2018年年初からユーロ圏のGDP成長率は事前予想を下回り続けている。2017年末時点で、経済協力開発機構(OECD)は、ユーロ圏の2018年のGDP成長率が2017年の前年比+2.5%から+2.2%に鈍化する程度と予想していた。しかしその後、米国の関税引き上げ、新興国経済の減速、原油価格の上昇など、下振れリスクが次々と現実化した。その結果、2018年のGDP成長率予想は+1.9%まで低下している。


2018年には、ユーロ圏の輸出と個人消費は抑えられたが、その一方で、民間投資と公共投資は堅調を維持している。


今後、経済成長はさらに減速し、2019年のGDP成長率は+1.6~1.8%、さらに2020年から2021年にかけては一段と減速することが見込まれている(図表1参照)。

図表1: ユーロ圏のGDP成長率は2019~2021年にかけて減速へ

出所: OECD、ブルームバーグ、欧州中央銀行(ECB)、2018年12月13日現在

ユーロ圏経済は、労働力が一段と不足していること、金融環境がこれまでほど下支え要因ではなくなっていることから、GDP成長率は、中期的に過去の平均ペースに収斂していくと予想される。ただし、短期的には経済活動を支える圏内要因がいくつかある。

  1. 個人消費は、2018年には原油価格の上昇を受けてやや減速したものの、2019年は回復が見込まれる。2019年は一段の雇用創出を背景に賃金の上昇が継続する見通しであり、またインフレ率は2018年が前年比+1.8%、2019~2020年が+1.7%とおおむね安定し(1)、実質所得の下支え要因になると見られる。
  2. ユーロ圏各国の財政政策は、フランスやイタリアなどはわずかに緩和的、ドイツやオランダなどはほぼ中立的になると予想される。
  3. 欧州中央銀行(ECB)は極めて緩和的な金融政策を続け、銀行貸出の伸びを支えるべく、大規模な過剰流動性を維持することを確認している。
  4. ドイツの自動車メーカーは、新たな排ガス規制によって引き起こされた生産停滞を克服しつつある。

外部環境は引き続き厳しい

2018年の輸出が弱含んだ主因は、ユーロ圏の輸出全体の7%が向かう中国の経済減速にあるが、それだけではなくユーロ圏の輸出全体の3%を占めるトルコなど他の市場においても景気が減速した。14%の比重を占める米国市場は堅調であったものの、他地域への輸出不振を帳消しにできるほどではなかった。米国が欧州製自動車に関税を課すことへの懸念はなお続いており、米国政府は2019年1-3月期にその決定を下すと予想されている。一方、好材料としては、ユーロ圏の企業収益が堅調に伸びていることが挙げられる(図表2参照)。但し、今後、貿易協定や関税、環境規制といった制約要因が早期に解決される必要がある。これらの見通しが立たない状況が続けば、企業の景況感は一段と悪化し、ひいては投資計画や圏内の潜在成長率が損なわれかねない。

図表2:企業(金融除く)のEBITDA成長率は低下したが、なお過去平均を上回る

注:EBITDAは利払い前、税引き前、減価償却前利益(金融除く)
出所:リフィニティブ、2018年12月13日時点

市場の不安定化を受けて各国政府は“現実路線へ回帰”

最近では、金融市場の不安定化を受けて、各国政府が現実路線に回帰する動きが見られることは、政策実行や財政規律に好影響をもたらす可能性がある(2)。最近の例では、イタリアは欧州連合(EU)の財政規律ルールに反する政策を選択したことをきっかけに、企業の景況感が悪化し、金融環境がタイト化したことが民間投資と個人消費への打撃となった。しかしながら、その後、イタリア政府は欧州委員会との交渉において態度を軟化させ、2019年の財政赤字目標を当初のGDP比2.4%から同2%へ引き下げている。


一方、ユーロ圏全体では、2019年は変化の年であり、欧州議会、欧州理事会、欧州委員会、欧州中央銀行の4つ主要機関のトップが交代する。欧州議会選挙は2019年5月23から26日の日程で行われる。こうした中、経済成長は2019年から2021年にかけて減速することが見込まれており、投資家は、貿易協定や新たな税制、新たな規制など、政策面における明確な見通しを必要としている。


(1)Bloombergが集計したインフレ率の市場コンセンサス予想、2018年12月13日時点。
(2)ユーロに懐疑的な政権が2015年9月にギリシャ、10月にはポルトガルで発足したがその後、いずれの政権も欧州委員会との建設的交渉に応じている。

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