欧州市場を見る眼(2018年11月29日)

トピックス:ユーロ圏の経済成長は減速か、停滞か?


世界的な貿易問題に対し合意などが見られれば、景況感は改善へ

最近の経済指標からユーロ圏の経済見通しに対して懸念が高まっている。7-9月期のユーロ圏の実質国内総生産(GDP)成長率は鈍化した。10月の企業景況感が再び低下すれば、不安感が高まるだろう。加えて、7-9月期はドイツで導入された新たな環境規制基準に伴い、自動車業界が揺れ、同業界が新たな事業モデルに適応出来るか否かの懸念が出てきた。
主として中国の景気減速などを背景に、外需が低下しつつある。世界的な貿易取引の鈍化、それに伴うユーロ高の影響、自動車関税などを巡る保護主義的な貿易政策発動への脅威などが、景況感や投資に引き続き影を落としていると思われる。しかし、欧州では世界的な貿易問題に対し何らかの合意の兆しが伺われる上、新たな環境規制への遵守を後押しする良好な金融環境や財政刺激策などが見受けられれば、相応の結果が得られよう。

ユーロ圏の自動車業界の問題は一時的

最近のユーロ圏製造業の活動は低下したが、そのほとんどがドイツで施行された新たな環境規制に伴う自動車業界への影響によるものだ。国際調和排出ガス・燃費試験法(WLTP)の導入がユーロ圏の自動車販売と生産に打撃を与えた。今年9月1日からの規制実施前には、駆け込み的な在庫一掃セールや積極的な値下げが自動車販売を押し上げた。
WLTP導入後は、長引く車検、在庫の積み上げ、引渡しの遅延などを背景に、9月の自動車販売と生産は減少した(図表1参照)。こうした自動車業界の一時的な混乱が、ユーロ圏経済の見通しを過度に不安視させた。10月に入り状況は好転したこともあり、今後数ヶ月間で事態は正常化すると考えられる。

図表1 世界の主要市場で低下する自動車販売

出所:HSBC グローバル・アセット・マネジメント(UK)リミテッド

持続的な投資は必須

足元のドイツの自動車業界の動揺を通じて、同業界が新たな事業モデルに適応出来るか否かの懸念が浮き彫りとなった。自動車メーカーは、自社の事業モデルを新たな環境規制に適応させながら、電動パワートレイン、自動運転車、コネクティッド・カーに徐々に移行する必要がある。電気自動車向けバッテリーの調達など新たなサプライチェーンの開発は、短期的には会社の利益率の圧迫に繋がる。事業モデルの転換と新たな規制への適応には、持続的な投資および研究・開発が必須である。商品のラインアップが増えるにつれて、新車への需要も拡大する。同時に、新たな環境規制への遵守を後押しする良好な金融環境や財政刺激策など、業界の変革をサポートする施策などについても注視する必要がある。

ブレーキがかかる中国からの需要

最近のユーロ圏の自動車販売不振は外部要因にある。2018年半ばから中国の需要が弱含んでいる上、直近では米国の自動車市場でも減速している(前ページの図表1参照)。ユーロ圏の製品輸出総額は過去12ヶ月間、中国からの需要後退を主因として著しく減少している(図表2参照)。ユーロ圏の輸出全体に占める中国の割合は7%に過ぎないが、中国向け輸出は2016年5月から2017年10月にかけて安定的に拡大した後、急減している。一方、ユーロ圏から米国向け輸出(全体の14%)については、今年は増加した。自動車関税などを巡る保護主義的な貿易政策発動への長引く脅威が、足元、不安心理を高めているが、欧州では世界的な貿易問題に対し何らかの合意の兆しが伺われる。これは支援材料と言えよう。一例として、カナダはユーロ圏輸出全体に占める割合が1%に過ぎないものの、昨年から暫定適用が開始されたユーロ圏とカナダとの貿易協定は輸出刺激を意図したものだ。日本もユーロ圏輸出全体に占める割合が2%だが、今年締結されたユーロ圏と日本との貿易協定が輸出の伸びに繋がると考える(1)。

図表2ユーロ圏から対主要国への輸出(金額ベース)

(1)欧州連合(EU)とカナダとの包括的経済貿易協定の暫定適用の開始(2017年9月)、 EUと日本との間で経済連携協定(EPA)に署名(2018年7月)
詳しくはEUのウェブサイトを参照 http://ec.europa.eu/trade/policy/countries-and-regions/negotiations-and-agreements

出所:ブルームバーグ、HSBC グローバル・アセット・マネジメント(UK) リミテッド、2018年10月10日時点

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