中国市場を見る眼(2019年7月8日)

トピックス:資産の質の現状をチェック



外国人投資家はこの数年間、金融緩和が長く続いた後の中国の銀行の資産の質について、警戒感を抱いてきた。最近では、1998年以降初の国家による銀行の接収が行われ、これが不良資産が増大している潜在的可能性を示唆する結果となっている。


短期的な経済見通しが不透明な中、当局が最近、「深刻な信用リスク」があるとして、都市部の商業銀行を一時的に接収したことが、デフォルトリスクに対する投資家の懸念を強めた。当該行のすべての個人顧客と99.98%の法人顧客は保護の対象となった。請求権の全額返済を受けていない法人顧客および銀行間顧客の初期平均回収率は90%に達している。


今回の接収は特異な、他の銀行と関連性のない孤立したケースと当社は考えている。当該銀行の規模は小さく、また政策当局が先を見越して調整に取り組んだことで、波及リスクは限定的になると見られる。しかし他方で、このケースは、都市部および農村部の比較的小規模な商業銀行ならびにノンバンク金融機関(NBFI)の根本的弱点を浮き彫りにする結果ともなった。それらの中には、不良債権比率が高く、自己資本比率が低く、さらに隠れた不良資産を抱える金融機関がいくつかある。


小規模な貸手の中には、資産を急速に増大させ、オフバランスシートの非標準資産やリスクの高い融資(たとえば、中小企業に対する融資)を増やしているところが多い。これらの貸手は、預金や株式での資金調達が比較的困難であることから、譲渡性預金証書(CD)発行を含む銀行間の資金調達手段にますます依存するようになっている。今回の接収の直後には、小規模な金融機関のCD発行高が減少し、発行利回りが急上昇している(図表1を参照)。


今回の接収を受けて、中国人民銀行(中央銀行)は、流動性注入の取り組みを強化するとともに、市場心理を落ち着かせるための様々な施策を講じて、インターバンク市場の安定化を図った。また、政府は6月11日、中央銀行が再貸付手段を通じて提供した資金を用いて、中国債券保険会社が管理する信用リスク軽減(CRM)ツールを利用して、困難に陥った銀行の発行したCDの元利払いについての信用保証を行った。CRMツールおよびインターバンク取引高の回復により、流動性の逼迫や中小銀行による与信の伸びの急激な減速に対する懸念が少なくとも一時的には緩和された。政策シグナルと対策措置により、銀行セクターへの波及の懸念は緩和された。


しかしながら、カウンターパーティー・リスクが認識されるようになり、中小の金融機関は現在、インターバンク市場からの借入コストの上昇に見舞われており、一部の中小銀行は、潜在的な預金流出のリスクに直面している。都市部および農村部の商業銀行の2018年の貸出金伸び率は約22%で、大手銀行や株式制銀行の伸び率である約10%を上回った。大銀行はそのギャップを埋めるべく、貸出金伸び率を高めるかもしれない(インフラ・プロジェクトの信用補強を含む)が、これらの銀行は自己資本比率規制に直面しており、その貸出比率は、小規模銀行と比較すると、中小企業向けが少なくなる可能性がある。中小企業はすでに、地方政府による借入増大を背景とした、クラウディング・アウトの潜在的リスクに直面している。


今後は、金融の安定性を守り、クラウディングアウトの悪影響を抑制し、かつ財政刺激策の効果を最大化するために、引き続き緩和的な金融政策が続けられ、十分な流動性/信用の供給および資金調達コストの低下が確保されるものと当社は予想する。

図表1:3ヶ月物譲渡性預金証書(CD)発行金利

出所:CEIC、HSBCグローバル・アセット・マネジメント、2019年6月現在のデータ

図表2:銀行の新規貸出額 ~2018年の新規貸出額は中小銀行による貸出が60%を占める~

出所:HSBCグローバル・アセット・マネジメント

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