インド市場を見る眼(2019年1月29日)

総選挙を控え、危ぶまれるインドの財政赤字目標達成



インドでは、2018年12月下旬に発表された財政収支統計を受けて、モディ政権が2018年度(2018年4月~19年3月)の財政赤字目標を達成できないのではないかと懸念する声が高まっている。会計収支検査局(CGA)によると、2018年4-11月の財政赤字は、既に2018年度の財政赤字目標値のほぼ115%に相当する1,019.3億米ドル(約11.2兆円)に膨らんでいる。


2018年度予算案の中で、財政赤字は国内総生産(GDP)比3.3%以内に設定されている。この目標は、同年度の残り期間で歳出を削減し、税以外の歳入を増やすことができれば、なお達成可能な範囲にあると見られる。


財政赤字の拡大は、主として間接税収入が低迷しているためである(図表1参照)。2018年4-11月期の物品・サービス税(GST)の平均徴収率は8.2%で、2017年度(GSTは2017年7月に導入)の平均よりは高いものの、2018年度予算で政府が目標としている20%強をかなり下回っている。

図表1:間接税収入が減少

出所:CEIC、HSBCグローバル・アセットマネジメント(香港)リミテッド2018年11月時点

歳出に見合う歳入の確保に苦労しているのは中央政府だけではない。各州政府による2018年度の借入金は急増している。一方、最近の石油価格の下落と2018年末にかけての税収の改善は、財政赤字に苦しむ州政府にとっては一時の恵みの雨となっているようだ。


インド政府は毎年2月に翌年度の予算案を発表する。今回は、その発表を前に財政赤字への懸念が高まっている。モディ政権の5年の任期が5月に終わるために、2月に発表されるものは通常の予算案とは異なる。2019年度の歳入・歳出は、5月までに行われる総選挙によって選ばれる新政権の財務相によって最終的に決定される。しかしながら、モディ政権は総選挙を控えており、中産階級を対象とする所得税率引き下げや地方経済支援を目的とする所得の直接移転スキームを含む積極的な財政計画を予算案に盛り込む可能性が高い。


2月に発表される予算案についての投資家の関心は、①モディ政権が2018年度の財政赤字目標を達成できるか、②2014年総選挙のマニフェストで掲げた財政規律を新年度予算でも維持するかの2点に集中するだろう。


インド議会は2018年3月に財政責任・予算管理(FRBM)法を制定し、2025年度末の時点で中央政府の債務残高はGDP比で40%、中央政府・州政府の債務残高の合計は同60%をそれぞれ超えないものとすると定めた(現在、後者は70%)。


しかし、2018年を通して、モディ政権は、農家向けの債務返済免除、地方への所得の直接移転、銀行資本増強債券の発行、貧困層向けの健康保険制度の導入、農産品の最低調達価格(MSP)の引き上げなど、数々の歳出増の要因となる政策を打ち出してきた。その結果、新しい中期財政健全化目標が達成できない恐れが高まっている。


以上のように財政赤字の拡大要因が増えれば、インド国債の利回り、引いては経済成長へも悪影響が及ぶ可能性も考えられる。


歳出拡大による歳入不足を補うには、GST徴収率の飛躍的な上昇が不可欠である。中央・地方の債務残高をFRBM法が定めるGDP比60%以下に抑えながら、追加的な歳出の財源を確保するためには、中央政府の税収に占めるGSTの比率を現在の3分の1から大幅に引き上げる必要がある。

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