中国市場を見る眼(2018年10月26日)

トピックス:景気押し上げのために、一段の緩和に踏み切るか?



中国は7-9月期の国内総生産(GDP)の発表後、中国人民銀行(中央銀行)と証券監督管理委員会(証監会)のトップが市場の不安を抑える声明を発表した。
人民銀行のアドバイザーである馬駿(Ma Jun)氏はさらに踏み込んで、「中国当局は市場の信頼回復のために一連の景気刺激策に乗り出す用意がある」と述べている。投資家は今後数ヶ月以内に、2019年GDPの最低1%に相当する税金・行政手数料の削減および民間企業の支援策を期待できるだろう。
政策当局は8月に第1弾となる税制改革をすでに実施済みであり、10月1日から課税最低限を3,500人民元から5,000人民元へと引き上げる。2019年1月からは税制改革第2弾として子供の教育や家賃などの控除項目リストを盛り込む。
世界第2位の経済大国として中国は投資主導から国内消費主導へと経済成長モデルの転換を進めており、中国政府には十分景気テコ入れ策を講じる余地があると当社は考えている。

消費者信頼感は後退しているか?

2018年も最終四半期に突入したが、中国の購買力が景気減速や米中貿易摩擦の継続の悪影響を受けているのではないかとの懸念が投資家の間で高まっている。ここ数年間の住宅購入ブームで家計貯蓄が食いつぶされ、さらに短期的に賃金の上昇余地が小さいため、中国の購買力が息切れすることが懸念されている。

図表1:中国の実質GDP成長率の推移

注:点線は政府の2018年成長率目標=6.5%
出所:HSBCグローバル・アセット・マネジメント(香港)リミテッド

特に自動車販売の減速は警戒すべき兆候とみられている。自動車販売は9月まで3ヶ月連続で減少したが、中国自動車セクターは、乗用車の年間販売台数がほぼ30年ぶりに低下する事態に直面している。株式市場が下落する中で消費者信頼感が揺らいでいることを反映し、9月の自動車販売全体は前年同月比11.6%減の239万台となった。これは7月の前年同月比4%減、8月の3.8%減に続く悪化である。
自動車販売の落ち込みは景気鈍化と米国への報復的な関税引き上げによるもので、消費者の足がショールームから遠のいている。また不動産価格の下落も消費者心理を冷え込ませたようだ。
こうした状況ではあるが、ここ数ヶ月で消費者信頼感が回復している兆候も見られる。9月の小売売上高は全体の伸びが対前年比で+9.2%と市場予想の+9.0%を上回った。
小売売上高の内訳をみると、1-9月期の自動車を除く販売は、前年の同じ期間と比べ12%増と堅調な伸びを示している。これは2017年通期の11%増を上回り、消費の増勢がなお続いているという安心感を与える(図表2参照)。
例えば、今年1-6月期の住宅サービスへの消費支出の伸び率は+32%と、前年上期を大幅に上回るペースで拡大している(図表3参照)。

図表2 小売売上高(実質)

出社:NBS,JPモルガン

図表3 消費支出への項目別寄与度(%)

注:インフレ調整ベース
出社:NBS,JPモルガン

景気の鈍化が緩和的スタンスを求める

市場は年初には、中国で続く債務削減への取り組みを非常に注視していた。しかしながら、年央以降、景気の減速テンポにあわせて、当局の政策は緩和的スタンスに徐々に変わりつつある。
実際、経済活動はここ数ヶ月間で弱まっている。中央銀行は10月には、今年4度目となる預金準備率(RRR)の引下げを発表せざるを得なくなった。中央銀行は、10月15日から大半の銀行のRRRを1.0%引き下げると発表した。このRRRの引下げにより流動性は1兆2,000億人民元増加した。
2018年第3四半期のGDP成長率は6.5%と市場予想の6.6%をわずかに下回り、2009年第1四半期以降もっとも低い伸びとなった。成長率の鈍化が続けば、中国政府はインフラ投資の積み増しや法人税の引き下げなど景気浮揚効果の高い政策を打ち出すだろう。
高リスク融資の規制や過熱気味の住宅価格を冷ます矢継ぎ早の政策が経済活動を抑えるとの見方に反して、当社では、中国経済は総じて予想外に持ちこたえているとみている。だが、現状では米中貿易摩擦が早急に決着するようにはみえず、貿易紛争が長引けば中国経済への負担が増えるだろう。したがってディフェンシブなポートフォリオを維持し、高ベータ銘柄よりも香港の金融セクターや公益株を選好している。

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